ホームページ制作業者とのトラブル、ワースト3を考えてみた。

トラブルは誰のせい?はい、ごめんください。
新潟のウェブコンサルタント、小杉(@mekemoke)です。

ちょっと昔話になります。

私は大学を卒業してから12年くらいずっと、民間企業でホームページの制作や開発を担当していました。

制作がメインの職場ではなかったため、ほとんどネットからの独学です。これは結構、ウェブ制作に関わる人ならあるあるでは?

先輩プログラマー(インフラエンジニア?)には主に開発の部分で色々教えていただきましたが、デザインやディレクションに関しては、ずいぶん楽しく試行錯誤していました。

それは自分にとっては非常に良い環境だったのですが、客観的に考えると、ちょっと疑問が残ります。当時は、できることを最大限がんばっていたことは誇れますが、がんばればいいってものでもないですよね。

そんな過去を思い出しつつ、今日のテーマはホームページの依頼側から見た「ホームページ制作業者とのトラブル」について。

費用を支払ったのに逃げられたとか、途中まで進めていたのに音沙汰がなくなった、などのトラブルに関してはウェブ業界に限った話ではないので、今回は除きます。

第3位 自社に成果物や素材の使用権がない

納品されたものを確認して、更新方法をレクチャーしてもらって、ここまでありがとうございました、と、一段落。

ちょっとごたごたもあったけれど、納期までに無事公開もできたし、
写真もふんだんに使われていて、わかりやすいデザインだし、
ホームページ用にきれいなロゴも作ってもらったし、
頻度は低いけれど、お知らせも更新できる。
操作感に違和感を感じても、相談すれば月々のメンテナンス費用である程度は対応してくれる。
提案はされないけれど、当初の予算以下に収まったし、まあいいだろう。

そうやってなんの不自由もなく、円満契約できたと思われる今回のケース。数年後、ホームページで使われている素材の使用権問題が露呈することがあります。

「デザインも古臭くなってきたし、リニューアルしたいなあ」
「ずっと契約しているけど、全然提案ないなあ……」
「せっかくだから、この前のセミナーで聞いた業者に頼んでみようかな」

こうやって、新しく別の制作業者にリニューアルを依頼する場面が出てきます。今までのデータを流用する可能性もあるでしょう。

しかし、今までの業者からは「うちが作ったものを勝手によそに使われては困ります。どうしてもというなら費用を頂戴します」という旨の回答が。

「ロゴは弊社が作ったものです。写真も弊社スタッフが撮影したものですし、サイト構築時に使ったデータはお渡しすることはできません。どうしてもということでしたら、お見積りします」と。

お客様にとっては自社のもの、制作業者にとっても自社のもの。ホームページで使用する素材の著作権と使用権についての合意が取れていなかったことが原因です。暗黙の了解って怖いですね。お互いに。

私はこのトラブル、制作業者に説明責任があると考えています。契約書を交わす際に一文を入れておき、著作権と著作物の使用権についての説明は必要でしょう。最初に「これだけの価値があるものなんですよ」と説明しておけば、お客様も理解できます。

お客様は、その業界においてはプロですが、ウェブやデザインの業界においては素人です。常識は通用しません。特に、色々なものが無料で使えるようになった昨今、著作権の考え方に差があっても不思議はありませんよね。

もちろん、依頼側となるお客様が無知にあぐらをかいていれば良いというものではないので、著作物の使用権を業者に確認するようにしてくださいね。

ちなみに、2015年9月現在の日本の法律では、著作権は著作物を作った人に存在するものであり、譲渡できません。著作物の「使用権」についての議論となります。

第2位 希望するデザインが出てこない

「う〜ん……なんか違うんだよなあ……」
「もうちょっと親しみの持てるデザインがいいな」
「もっとこう、バーン!とインパクトがあって、ガッ!として、最後にスッっと申し込みされるようなページで」

という感情的な言葉で訂正指示をされると、ウェブデザイナーは死にます。ザキの連呼より効果的です。覚えておいてください。お互いのイメージが一致していないと、妥協することになるというトラブルは、お互いに疲弊します。

たとえば、「シャキッとしてジューシーでみんなに愛されている」と言われて、何を思い浮かべますか?

「赤くて丸い果物」と言われたら、いかがですか?

どちらもリンゴを表すものですが、前者はわかりにくいですよね。

リンゴ程度ならともかく、デザインは感情で左右されるので仕様が決まりにくく、やっと決まった仕様に沿って作ったとしても、違和感を感じて「やっぱり違う」となりかねません。

この問題を解決するのは、顧客設定と目的・目標を定めること。

  • 誰のためのホームページなのか
    → そのターゲットが見る雑誌を参考にしても
  • その人がホームページを見てどう感じ、どう行動して欲しいのか
    → 使い勝手としての動線設計
  • ホームページの目的達成を何件目指すのか
    → お互いのコミット

「デザイン」というのはそもそも、「設計」のことを指します。ウェブデザインは、見た目(外観設計)だけでなく、使い勝手(動線設計)も並行して考えられています。ウェブデザイナーはその辺りも考慮して作っているので、差し戻された時の疲労は察してあげてください。だからこそ、余計な手間は省きたいのです。

解決するためには、依頼側でも制作側でもない、顧客視点に立ってデザインを科学的に考えていくと、ミスコミュニケーションは起こりにくくなります。

ちなみに、物事を客観的に判断できるようにするため第三の立場で考えることは、心理学で「ポジションスイッチ」と言われる手法です。ぜひ取り入れて、制作業者から素敵なデザインを引き出してくださいね。

第1位 あとからお金がかかると言われる

結局最後はお金の件なんですが、「そんなにかかるなら先に言ってよ!」というトラブルです。

有料無料にかかわらず金額の合意が取れていなかったり、見積書の内訳に入っていない内容については、すべて追加費用になると思ってください。上記とも密接に関係しますね。

第3位は、成果物を含めた著作物に関して。第三者による使用を想定していなかったため、使いたいなら費用を支払ってください、となってしまいます。

第2位は、デザインに費やした工数について。納得のいくデザインが欲しいと考えていると、別のデザイン案の作成には追加費用が必要です、となってしまいます。

ホームページにかかる費用はほとんどが人件費なので、人が手を動かすことになれば、費用が発生します

素人的には「プロなんだからすぐ作れるでしょ?」と無邪気に思われるかもしれませんが、業務に必要な環境を投資しして整え、培ってきた膨大な知識と、日々研鑽している技能を売っているのがプロです。

それをどうか忘れないでください。

制作業者としては、様々な状況を想定した説明責任があります。もし想定外の費用が発生してしまった時、その場は勉強代として、次に活かして欲しいなと、元(?)制作人間として思います。

依頼者としては、ホームページにかける費用がどれくらいで回収できるかを考えた上で、予算を決めていただきたいと思います。できるだけ安く、というのは良い結果を生みません。

「本当は30万円で作りたいんだけど、1年で30万円回収できる見込みなら、50万円までならいける。補助金が使えて3ヶ月以内で完成するなら、70万円まで」という駆け引きをしてみてください。

そして「あとから費用が発生するなら、事前に相談して欲しい。事前に相談がない場合の予算外となる費用は支払えない」と伝え、その旨の契約書を交わしておくのも有効です。

 

……なんていうか、自戒の念を改めて持ちたいと、強く強く感じた次第です。

これって全部、コミュニケーションで解決できる問題だということにお気づきでしょうか。依頼側としても制作側としても、以下の6W2Hをお互いに共有しておくだけで、だいぶスムーズになります。

  1. 誰のためのホームページか(Whom)
  2. ホームページを作ることによる、目的と目標(Why)
  3. 目的と目標を実現するためのサイトの仕様(What)
  4. 公開後の運用体制と権利(How)
  5. 制作に関わるすべてのメンバーと役割(Who)
  6. 公開までのスケジュール(When)
  7. 公開環境(Where)
  8. 費用と内訳(How much)

現在、サイト制作はちょっと知識があるとできてしまうので、「私で良ければやりますよ!」とか「できる知り合いに頼むことにした!」という方も少なくありません。

ですが、口約束だとグダグダになって、先に上げたトラブルの元になるのも、よくある話です。

細かい話を切り出しにくいな、と思ったら「すみませんが事務的な手続きに必要なことなので、最初に確認させてください」と前置きした上で、どちらかが率先して上記をチェックすれば良いのではないでしょうか。それをそのまま契約書という形でお互いにサインしておけば、立派な証拠になります。

※口約束でも契約になるので、書式がどうあれ契約書とみなせるはずですが、私は法律の専門家ではないので弁護士さんなどに確認してくださいね(コメントいただけるとウレシイです)。

悪質な業者でなければ、大抵はコミュニケーション不足によるトラブルです。

お互いのことを理解して、良い関係を築いていきましょう。ホームページは公開してからがスタートですから、長い付き合いになりますよ。

ウェブの心理戦略家。WordPressの勉強会(WordBench新潟・長岡藩)も主催。顧客の心理と分析を裏付けるデータを元に、心理学に基づいたライティングとWordPressでのサイト構築が得意。新潟県長岡市在住。2013年4月には新潟県で初のウェブ解析士マスターになり、同年6月よりコスギスとして活動。夫と子ども2人をこよなく愛す。おやつはプリン。

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