行動分析学はウェブ解析士にもオススメだと思った件

150810ごめんください。
新潟のウェブ解析士マスター、小杉です。

気分が凹んだ時にはアウトプットしても成果が出にくいので、本を読むように心がけています。

そんな時「ふと目に止まった本を読むといいよ」「そうすると新しいはじまりがあるよ」と某さんからメッセージをいただいたので、サロン(事務所)で手に取った本が「メリットの法則――行動分析学・実践編 (集英社新書)」でした。

これが大当たり。

以前、臨床心理より行動心理かな…と考え、行動心理学(行動主義心理学)を少し勉強したことがあったのですが、コレジャナイ感が増幅されて、睡眠導入剤にしかならなかった経験がありました。

ですがこの「行動分析学」は非常に単純でわかりやすく(ついでに著者のユーモアが随所にあり)、ストンと腑にオチました。

文中には「自然法則」という言葉が使われていて、「好子(こうし)」「嫌子(けんし)」「出現」「消去」の4つのマトリクスでほとんど解決できるというのが目からウロコでした。

単純さ故に批判もあるようですが、わかりやすいものは実践して検証しやすいので、ウェブで応用したら効果が出やすくてオモシロそうだなあと思いながら一気に読破。

ちなみに私、ほとんどテレビを見ないので著者の奥田健次さんを存じなかったのですが、「HAHAHA!」とか笑ってるオジサンをイメージしていたら、実際の写真を見てアウトローなイケメンっぷりに噴きました。発信源はブログだけか……SNSならフォローしたいところだったんですが。

「行動主義心理学」と「行動分析学」の違いって?

自分が混乱したので備忘録として。

参考:行動主義心理学 – Wikipedia

スキナーは、体系化された行動主義哲学を構築した理論家・実験家・実践家である。彼の構築した行動主義哲学は、徹底的行動主義と呼ばれている。そして、その哲学と共に、彼は行動分析学という新しいタイプの科学を作りだした。

つまり、行動分析学はバラス・フレデリック・スキナーさんによって体系化された、行動主義心理学の派生である、と理解しました。

「メリットの法則」は学術論文ではないので小難しい話は入っていませんが(だから読みやすかった)、そのエッセンスはきっちり入っています。

スキナーさんの Wikipedia に書かれている単語を理解するのはこれからがんばる。

参考:バラス・スキナー – Wikipedia

ついでに、行動分析学の基本である「好子(こうし)」「嫌子(けんし)」「出現」「消去」についても書いておきます。

そもそも「好子(こうし)」って?

好子は「行動の直後に出現するとその行動が強化される、本人が好むモノゴト」のことです。

例えば、子どものお手伝いのことを考えてみましょう。

小さな子は親に抱きしめられるのが大好きです。それを行動分析に当てはめると、

(直前)抱きしめられていない

(行動)お手伝いをする

(直後)抱きしめられる

となり、抱きしめられたら、またお手伝いしよう!と思うようになります。好子にはマズローの欲求5段階説も使えそうですね。

それにしても、時々「ヨシコ」って読んでしまうのは私だけでしょうか。「好子」なんてそのままじゃ変換もされない難しそうな言葉ですが、「ヨシコさんを行動の直後に渡すと、その行動が繰り返される」と覚えたら、ヨシコさんが小人さんに思えてきませんか?思えませんか。そうですか。

それなら「嫌子(けんし)」って?

嫌子は「行動の直後に出現するとその行動が弱化される、本人が嫌がるモノゴト」のことです。

先の子どもの例を使います。小さな子の失敗を咎めた場合、どうなるでしょう?

(直前)お咎めなし

(行動)お手伝いをする

(直後)お咎めあり

行動分析学は、感情を抜きにして、誰が見ても明確な状況と行動だけを考えるという特徴があります。「次こそは失敗しないように気をつけよう」とは考えない、というのが行動主義のポイントですね。「お手伝いをしたのに怒られた…もういやだ」と本人が感じたら、お咎めは躾でも愛のムチでもありません。ただの嫌子です。

つまり、失敗を咎められると、もうお手伝いなんかしない!と思うようになります

ヨシコさんと同様、「ケンコさんを行動の直後に渡すと、その行動をやめるようになる」と覚えてみたらいかがでしょう?なんかこう…呪いの人形を思い浮かべませんか?思い浮かべますよね?ケンコさん、副作用も大きいので。

上記は「出現」で例を出しましたが、好子や嫌子を「消去」することで、逆転します。

行動を強化→弱化する順に並べると、

  1. ヨシコさんを渡す(好子の出現 → 行動の強化)
  2. ケンコさんをなくす(嫌子の消去 → 行動の強化)
  3. ヨシコさんをなくす(好子の消去 → 行動の弱化)
  4. ケンコさんを渡す(嫌子の出現 → 行動の弱化)

となるようです。

好子も嫌子も、「直後に」というのがポイントです。60秒以内、だそう。

 

というわけで前置きが長くなりましたが、ウェブ解析士の使いどころ3つをまとめました。まだ自分の中で完全に落とし込めてないので、体例は入門編を読んでからにします。

1. ファシリテーションのための行動心理学

ファシリテーション。言葉は知っているけれどうまく説明できない、という方もいらっしゃるかもしれません。

ファシリテーションとは「ミーティングなどの話し合いを活性化させること」と覚えておくと良いですよ。

以下 Wikipedia から引用。

ファシリテーション(英: Facilitation)は、会議、ミーティング等の場で、発言や参加を促したり、話の流れを整理したり、参加者の認識の一致を確認したりする行為で介入し、合意形成や相互理解をサポートすることにより、組織や参加者の活性化、協働を促進させるリーダーの持つ能力の1つ。 コミュニケーションスキル以外にも、ルールが必要な場合の内容設定や補助、プログラムのデザイン、進め方や、さらに会議の場所や参加者の選択、日程のデザインなど、オーガナイザーやリーダーの機能を担う。会議の場に限定される機能とするのは誤りであり、日常での組織コミュニケーション全般において、ファシリテーション技術は活用される。

ウェブ解析士の認定講座では、「ウェブ解析士はミーティングにおけるファシリテーターになりましょう」とお伝えしています。

ミーティングの場がデータの報告会であってはなりません。上がった下がったなんて、見りゃわかります。いかにデータを活用し、成果に貢献させるかという考え方をするので、データからの気づきを伝え、引き出し、共有し、行動を促せるようにまとめる役割を担います。

私は常々、感情が動けば行動につながると言っていますが、これって行動分析学なんですね。

期待する行動のために、相手に「ヨシコさんを渡す」か「ケンコさんを避けさせる」ことができれば、行動を促すことができる、と考えられます。

目的やゴールを見失ったりしないための舵取りは必要ですが、ここで期待する行動は、積極的なデータ活用への関わりやどれだけ意見を引き出せるかであって、ウェブ解析士(コンサルタント)が押し付けるものではないと考えています。

その行動分析によるアプローチを行いながらサポートしつつ、将来的な目標と目的を共有できれば、良いミーティングになるのではないかと。そもそもファシリテーションはミーティングだけに限らないので、普段のフォローにも使えますよね。特にキーパーソンへの関わりには有効なのでは。

短期的なゴールを作って、そのためのルートと通過点が明確になっていれば、すごろくと同様に進捗そのものが好子になりえますね。

2. ウェブ解析の、ミクロ分析で活かせる行動心理学

ウェブ解析士マスターの講座では、マクロ分析だけでなくミクロ分析も学びます。

特定のユーザーの行動を逐一追って、「このページで次のページに行くのをあきらめたんだな」「このページで満足できたんだな」と、心理状態を考えます。まさに、行動分析学が活かせるのかなと。

ユーザーの「好子」「嫌子」がページのどこにあって、どういう行動につながったのか。

どのような「好子」「嫌子」をページに入れ込むことで、期待する行動につなげられるのか。

それらがある程度はっきりすると、動線が生まれます。はっきりしなくても、仮説として考えることができれば十分です。

もちろん行動分析学だけでユーザビリティーが解決するわけではないので、ひとつの考え方として活かせるんじゃないかなって。何より、仮説が立ちやすくなるのが大きなメリットかなと思いました。

Fail fast, Fail often, Fail cheap.

仮説はほとんどはずれるものと考えて、リスクが低いうちに多くの失敗を経験することが、ゴールへの近道です。

施策に活かせる行動心理学

上記の続きになりますが、仮説を立てたら検証を前提とした施策に移ります。

提供されるサービスのターゲットはほぼ決まっているという前提なら、個人レベルでなく集団レベルでも共通していると考え、提供できるベネフィットを「ヨシコさん」、サービスの弱点やリスクを「ケンコさん」と考えてみます。

ステップメールでは、ヨシコさんを増やしつつ、ケンコさんをなくしていくイメージ。ブログでも、記事のテーマは「ヨシコさんを増やすための説明」だったり「ケンコさんを減らすための説明」だったりしますね。

もっと具体的で検証しやすいところだと、フォームの離脱改善(EFO)がオススメです。フォームのページを頭からじっくり見て、ヨシコさんとケンコさんを探します。あとは、増やしたり減らしたりすれば良いわけです。

例えば項目が多い場合には、入力を促す必要があります。

(直前)マークなし

(行動)入力

(直後)「OK!」のマークが表示

という場合は、ヨシコさんの出現によって次の入力を促すことができます。

(直前)マークなし

(行動)入力

(直後)「NG!」のマークとエラー文表示(直前)エラー文あり

(行動)入力

(直後)エラー文なし・「OK!」が表示

となれば、ケンコさんの出現によって再入力を促し、ケンコさんをなくしてヨシコさんを出現させます。

ここでポイントなのは、できれば先にヨシコさんを出現させておくこと。だから、入力フォームは最初に簡単なものを配置し、「OK!」をたくさん表示させて、ヨシコさんによって行動を強化しておく必要がある、と考えられます。

 

・・・勝手に「ヨシコさん」とか「ケンコさん」とか言葉を変えてしまいましたが、イメージできましたか?

「イマイチわからん!」という方は、ぜひ本を読んでみてください。非常にわかりやすいです。

あとから入門編の方を読むことになりましたが、言語行動を深堀りできるようなので、ライティングに活かせそうです。楽しみ!

1978年、新潟県南魚沼市生まれ、長岡市在住。夫と子ども2人をこよなく愛す。

教員養成課程を修了して教員免許を取得するも、民間企業に就職して12年近くウェブ制作に関わる。デザインから開発まで、制作業務をトータルでこなすオールラウンダー。

2013年4月には新潟県で初のウェブ解析士マスターになり、同年6月に起業、コスギスとして活動。心理学に基づいたコンテンツ分析と、SNSなども含めた幅広いウェブマーケティング、そしてWordPressでのサイト構築を得意とする。

ウェブ活用の人材を育てる「ウェブ解析士認定講座」や関連セミナーを新潟県内で唯一定期開催。WACAアワードにて 2016年 Best of Best を受賞。2017年 ペライチ公式 新潟県代表サポーター。

初心者向けのWordPressの勉強会(WordBench新潟・長岡藩)や、ホームページ勉強会を主催。セミナー講師としても活動中。