はい、ごめんください。
今日は Google アナリティクス(略して「GA」と呼ばれます)の活用方法についてです。
ツールの使い方は下記の書籍がものっそ参考になるというか、むしろ辞書として使えるので、Google アナリティクスを使い倒したい!という方にオススメです。
いわゆる「アクセス数」と言っても、色々な種類があります。
Google アナリティクスを初めて見た人がつまづいてしまうのは、あまり馴染みのない言葉が並んでいて、「膨大なデータを見ることはできるけれど、何を見たらいいのかわからない!」という情報の波に飲まれてしまうためでしょうか。
それはデータを見てしまうからであって、まず「どんなことを知りたいのか」ということを考えてから確認するようにしましょう。
Google アナリティクスでできること・できないこと
どんなことができる?
GA では、下記のようなことができます(下記がすべてではありません)。
基本的には解析期間を絞り込んだ上で、ホームページ全体(解析コードを仕込んだページ)を見ます。必要に応じて特定のページで絞り込んだり、モバイル環境(スマートフォン)かどうかによって絞り込んだりすることができます。
また、リアルタイムで確認できるデータも増えました。
- 何人来た?(ユーザー数)
- 何回訪問された?(訪問数)
- 1回の訪問で何ページ見られた?(訪問別平均ページビュー数)
- ホームページをどれくらいの時間見ていた?(平均滞在時間)
- ご新規さんとリピーターの割合はどれくらい?(新規ユーザー)
- モバイルからのアクセスはどれくらい?
- どんなブラウザを使ってる?解像度は?
- どこからアクセスされた?(地域・組織)
- どんなページからリンクされた?(リファラー)
- どんなキーワードでアクセスされた?(オーガニック検索のキーワード)
- どのページが訪問者を逃してる?(直帰率・離脱率)
- ゴールまでの経路で問題があるページは?(コンバージョン)
・・・などなど。
どんなデータが取れるかではなく、何のためにそのデータを使うのか、という考え方が重要です。
できないこと・しにくいこと
俯瞰した解析(マクロ視点の解析)は得意ですが、個別に見る解析(ミクロ視点の解析)が苦手です。また、ソーシャルメディアの解析は、どんなメディアのどんな投稿からどれくらい来たのか、くらいで、ソーシャルメディアからホームページに来た部分については把握できますが、ソーシャルメディア内の出来事については解析できません。(ソーシャルメディアに解析コードを仕込めないので、当然といえば当然です)
- 訪問者別の行動経路
- 各ページのツイート数や「いいね!」数の把握
- 訪問者のマウスの動き
- クリックのヒートマップ(ページのどのあたりがクリックされているか)
- 複数のドメインをまたぐ解析
- PDF などのダウンロード数の計測(→ やり方によって GA でもできます)
- ページが見つからない等のエラー(→ Google ウェブマスターツールで見れますね)
逆に言えば、これらのデータを取得できるアクセス解析ツールもあるわけです。
Google アナリティクスを使って取る方法もありますが、詳細な行動経路やソーシャルメディアの解析は別のツールでないと難しいですね。
最近使えるようになったユニバーサル・アナリティクス(UA)は、今より広く解析範囲を広げることができますが、一般的なホームページで使う必要はないでしょう。
モニタリングツールとしての Google アナリティクス
そもそも、何のためにアクセス解析ツールを使うのでしょうか?
その月のアクセス数が知りたいから。というだけでは、意味がありません。
モニタリングに必要なのは、「仮説」です。
まずは現状の問題点を把握して、仮説を立てましょう。難しく考える必要はありません。
問い合わせを増やしたいホームページがあったとして、たとえば、こんな感じです。
現状:
サービス紹介のページの閲覧数がかなり少ない…。
紹介のページからサービスの問い合わせページヘはスムーズだ。
仮説:
トップページからの流入が増えれば、紹介ページの閲覧数も増えて、問い合わせも増えるはず。
施策:
トップページに設置してあるサービス紹介へのバナーをもっとわかりやすくしよう。
さて、ここでモニタリングすべき指標はなんでしょう?
仮説を元にすると浮かんできますね。
- 紹介ページ、問い合わせページの訪問数(ちゃんと閲覧数が増えた?)
- 問い合わせをしたユーザーの平均ページビュー数(迷わず問い合わせにつながった?)
- トップページから紹介ページの流入割合(施策の効果があった?)
- 問い合わせ件数(施策はゴールに貢献している?)
あらかじめ確認しておきたい指標(確認項目)を決めておき、その指標で判断できるわけですね。
その指標のことを、マーケティングでは「KPI(ケー・ピー・アイ:重要業績評価指標)」と言っています。つまり、指標は仮説検証として使うわけです。
新規顧客を増やしたいなら、リピート率も見る必要がありそうです。
バナー(クリエイティブ)を改善するなら、A/Bテストを実施するのもいいですね。
先述の「どんなことができる?」で挙げたことにはない指標もあります。
できることから選ぶのではなく、知りたいことから必要な物を考えてください。
データの変動は、いまいち大きくないかもしれません。
割合で見たら大きくても、件数で見たら少ないということもあるかもしれません。
ですがそれらは失敗ではなく、ひとつのモデルケースです。
大切なのは、それを糧に、小さくてもしっかりと改善サイクルを回していくこと。
ゴールに向かって進行方向を調整しながら進んでいきましょう。
マーケティングツールとしての Google アナリティクス
問題点を探す方法です。課題は各ホームページのタイプによって変わってきます。
ですから、ホームページの目的を把握した上で課題を見つける必要があります。
お客様に提案する材料として(ホームページ制作会社など)
すでに担当しているお客様の状況がわかっている(はず)ので、アクセス解析のデータから問題点を見つけるのはそれほど難しくないと思われます。
- モバイルでのアクセスが多い → スマートフォンサイトを検討しては?
- かなり離脱率の高いページがある → ゴールになっていればいいけれど、原因は?
- ランディングページの直帰率が高い → 次ヘ進むための動線がないのでは?
- コンバージョン率の高いキーワードがある → そのキーワードでの流入を増やしたら?
・・・すぐ挙げられるのはこんな感じですが、ホームページの目的によっては、「訪問別ページビュー数が多すぎるので、迷っているおそれがある」などというものもあります(大抵のホームページは1回の訪問で沢山のページを見てもらっている=興味を持ってもらっている、と判断することが多いです)。
このような改善ポイントが見つかると、お客様への提案材料になるわけですね。
まずはすぐできそうなところから始めてみると良いでしょう。
たとえば申し込み(≒コンバージョン)につながりやすいキーワードがあれば、そのキーワードを意識した(やりすぎ注意)更新を行ったり、関連性の高いページに手を加えるなど、新規追加施策よりは、日々の更新の中でできるようなことから提案できるといいですね。
お客様の声を探る(自社など)
ある程度大きなところしかわかりませんが、特定の組織や地域からのアクセスが高ければ、営業部署と相談してアプローチをかけてみる、ということもできます。
リアルとの営業戦略にギャップが見つかった場合(たとえばメインで売り出しているサービスよりもサブのサービスのほうが閲覧数が多い=関心が高いと判断できるなど)、それを更に分析して営業戦略にも活かすことができます。
自社でアクセス解析を生かしているところというのは(私は)ほとんど聞いたことがありません。外部に任せるよりも自社の戦略を知っているのだから、ずっと活用しやすいと思うのですが、大抵、1ヶ月にどれくらいアクセスがあったかを確認しているだけ、というのが多いです。
ホームページの担当部署と営業部署とが連携して、アクセス解析データを活用していただければ、今までとは違うアプローチ方法が見えてくるかもしれませんよ。