はい、ごめんください。新潟のウェブ解析士マスター、コスギです。
先日は、WordPress のオンライン勉強会である WP ZoomUP に登壇させていただき、アクセス解析に関するオンラインセッションを行なってきました。動画で録画されているので、2時間ありますが見逃した方はどうぞー(それにしても眼鏡の反射が切ない)
内容は運営さんがきれいにまとめてくれているので、そちらをご覧ください。今月のクリスマスイブイブでついに不惑を迎えるので、ウィッシュリストを見たサンタさん、イイコにしてるからプレゼントください!(直球)
「WP ZoomUP WordPressのアクセス解析!画面を見ながら手順を確認しよう」WP ZoomUP #6 レポート – WP ZoomUP
一般の方からの参加レポートも!うれしい!
WP Zoom UP #6 に参加! アクセス解析編! | 空飛ぶジェラトーニ
私の方からは、スライド以外の当日の流れでゴニョゴニョした部分をフォローします。
Google タグマネージャーはぜひ覚えてほしいツール
今回、男木島図書館のサイトに Google アナリティクスを導入する際、Google タグマネージャーを利用しました。三浦さんが書かれた解析ツールを導入してみよう!でも紹介されています。
「タグ」の「マネージャー」という名前のとおり、色々なタグを管理するためのツールです。Google 以外にも、タグを管理するツールはあるのですが、皆さんが使いやすいのは Google のツールかと。
「アナリティクスはなんとなく知っているけど、タグマネージャー……?」という方がほとんどかと思います。ちなみに、「ジャー」なのか「ジャ」なのかは Google の公式サイトでもバラバラです。どっちでもよさげなので、以降「タグマネ」で。
そもそもアクセス解析ツールの導入には「トラッキングコード」が必要
アクセス解析ツールの種類に言及すると深いので、さらっと説明します。
Google アナリティクスなどのアクセス解析ツールは、「ウェブビーコン型」と言われています。昔から、1✕1 ピクセルの画像を埋め込んで計測するアクセス解析ツールがありますが、要するにアレを仕込むための「トラッキングコード」と呼ばれる JavaScript をサイトのソースに記述しなければなりません。
プラグインを使っているとわかりにくいかもしれませんが、HTMLソースを見ると以下のようなコードを見つけることができます。
<!-- Global site tag (gtag.js) - Google Analytics --> <script async src="https://www.googletagmanager.com/gtag/js?id=UA-XXXXXXXX-X"></script> <script> window.dataLayer = window.dataLayer || []; function gtag(){dataLayer.push(arguments);} gtag('js', new Date()); gtag('config', 'UA-XXXXXXXX-X'); </script>
古いコードだと全然違う書き方をしているかもしれませんが、だいたいこんな感じで JavaScript が書かれています。このトラッキングコードこそ、タグマネが管理するための「タグ」にあたるものです。
アクセス解析ツール以外に皆さんが使うタグといえば、Google アドセンスなどもタグマネで導入できます。
コスギスの設定で言えば、こんな感じ。「トリガー」で条件を追加して「タグ」を実行させています。
私が動画中で IF 〜 THEN と言っていたのは、
IF「もし外部へのリンクがクリックされたら」← トリガー
THEN「外部リンクのクリックをトラッキングする」← タグ
という話です。
WordPress は CMS なので、実はタグマネと似ている
皆さんが使っている WordPress は、CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)なので、コンテンツ(ホームページの内容)を管理するためのシステムです。WordPress の管理画面で作業すれば、直接 HTML ファイルを更新しなくても済みますよね。
難しいことを知らなくてもコンテンツを更新できるように、管理が分かれているのが特徴です。タグマネも同様、解析の設計と設定の管理を分けることができるという特徴があります。
ここで「管理者が違うだけなら別に分ける必要はないのでは?」と思うかもしれませんが、WordPress の管理者はただ構築しただけでなく、サイトの設計を行い、要件の追加にも対応できるようになっていますよね。「投稿とは違うから、ここはカスタム投稿を入れよう」「カスタムフィールドの要件が増えたから、項目を追加しよう」とか。
タグマネの管理者も同様です。
「キャンペーン用のフォームを追加したから、申し込みまでの動線を把握したい」とか
「PDFをダウンロードした回数を取得したい」とか。
これを WordPress 上でやるとソースを弄ったりして管理が大変ですが、仕様がわかればタグマネ上で設定できます。
もし「そこまで考えてないよー」と思った人にはぜひ導入してもらいたいです。なぜなら、タグマネの導入によって、目的意識の高いサイトをつくり、改善するための下地をつくることになるからです。書籍もあるのですが、Google 側がどんどん新しくなっているので、検索しながら使ってみてください。
この手のことをもっと知りたかったら、ウェブ解析士を学ぶのが手っ取り早いです。2019年版のテキストは広くて深くなったので、会社に一冊置いて読み回すだけでも知識の底上げが可能です。私も講師をしているので、WordPress 界隈の人が増えてくれたらうれしいなあ。
Google アナリティクスで個人情報を入れてはならないのは規約にある
引用元:Terms of Service | Google Analytics – Google
お客様は、Google が個人情報として使用または認識できる情報を Google に送信したり、第三者によるかかる行為を支援または許可したりしないものとします。
セッションではユーザーエクスプローラーをお見せしましたが、アレはあくまで匿名で、実際に皆さんも動画で説明した人が誰なのかを特定することはできなかったはずです。
ですが、あのデータにメールアドレスなどが含まれれば、簡単に特定できてしまいます。やろうと思えばできてしまうので、自社のやりたいことを優先してしまうと利用規約に反してしまう可能性が十分にあるので注意してください。
更に、Google アナリティクスを利用する際には Cookie(クッキー)の利用についてプライバシーポリシーに明記しておく必要があります。
お客様は適切なプライバシー ポリシーを用意および遵守し、訪問者からの情報を収集するうえで、適用されるすべての法律、ポリシー、規制を遵守するものとします。お客様はプライバシー ポリシーを公開し、そのプライバシー ポリシーで、お客様がデータ収集のために Cookie を使用していることを必ず通知するものとします。また、Google アナリティクスを使用していること、および Google アナリティクスでデータが収集、処理される仕組みについても必ず開示するものとします。この情報の開示は、「ユーザーが Google パートナーのサイトやアプリを使用する際の Google によるデータ使用」のページ(www.google.com/intl/ja/policies/privacy/partners/ や、Google が随時提供するその他の URL)へのリンクを目立つように表示することで実施可能です。
リンクを貼るだけでも大丈夫というメッセージがあるのはありがたいですね。
Google マイビジネスの数字の考え方
施設がある場合は Google マイビジネスを入れておいたほうが良いというお話をしましたが、そこで見れる解析データが「インサイト」というものです。「インサイト」は直訳すると「洞察」ですが、「ユーザーの行動や心理」と置き換えるとわかりやすいですね。
表示回数のカウントは厳密に正しいとは言い切れないので、だいたいこのくらいなんだなと把握しておくと良いですよ。
参考:インサイトについて – Google マイビジネス ヘルプ
クロス◯◯って何?
まさかこの話をすることになるとは思わなかったんですが(笑)
それなりの規模でアクセス解析をしている方は業務の流れで知ることになるので、アクセス解析を導入しようという初心者の方にはそれほど重要な話ではありません。もし知りたかったらググってみてください。
出てきた単語をざっくり解説すると、以下のようなものです。
クロスドメイントラッキング:複数ドメイン運営者は検討しよう
たとえば、
- kosgis.com ← 本家サイト
- store.kosgis.com ← オンラインストア
- kosgis.doorkeeper.jp ← イベントページ
といった感じで、複数のドメインを横断して運営していることは珍しくありません。このような場合、ユーザーは3つのホームページを行ったり来たりすることになります。
デフォルトの設定ではそれぞれ別のサイトとして判断されますので、一連のユーザーの行動を把握しにくくなってしまいます。
そこで、クロスドメイントラッキング。「ドメイン」を「クロス(横断)」して「トラッキング(追跡≒解析)」するのです。こうすることで、例えばオンラインストアの商品を気に入ったユーザーが、本家サイトにも来てくれているかを判断することが容易にできます。
必要だなと思ったら「クロスドメイントラッキング タグマネージャー」で検索すると、最新の方法を見つけることができるので、常に新しい情報を追っていくことをオススメします。
クロスデバイストラッキング:PCとモバイルのユーザーが共通なら検討しよう
たとえば、
- WordPress で知りたいことがあったので、出勤中の電車で自分のスマホから Google 検索した
- コスギスのページがヒットした
- 読んでみたら解決できそうだけど、長そうなのであとで確認することにした
- 職場のパソコンで再度コスギスのページにアクセスした
といった流れで行動したユーザーがいると想定します。仮に、Aさんとしましょう。
ここで登場する人物は、Aさん1人です。ですが、コスギスのサイトに導入されている Google アナリティクスでは、スマホのAさんとパソコンのAさんを別人と判断します。これは、訪問者を判別するための Cookie(クッキー)がブラウザに保存されることに起因しています。スマホの Cookie とパソコンの Cookie は異なるからです。
この状態をそれほど重要視せず、相対的にデータを見ていくこともできますが、やはりユーザーを重視したいなら、「Aさんは1人」とみなす必要があります。
そこで、クロスデバイストラッキング。「デバイス(パソコンやスマホなど)」を「クロス(横断)」して「トラッキング(追跡≒解析)」するのです。
今まではログインIDを User ID として云々……と難しかったのですが、実は Google アナリティクスで「Google シグナル」を有効にすると使えるβ版サービスとして導入されています。
参考:【GA速報】自動クロスデバイストラッキング機能が新登場!User ID設定不要! | 株式会社プリンシプル
参考:Google シグナルを有効にする – アナリティクス ヘルプ
興味のある方は、Google シグナルの情報を随時追ってみるといいですね!
初めてアクセス解析ツールを見るときの「問い」
「目的」と言ってもよくわからないのが現実だと思うので、なんとなくアクセス解析ツールを入れていた方は、自分やクライアントに問いかけてみてください。そして、30文字以内で答えてみてください。
「このサイトのキャッシュポイントはなんだろう?」
言ってしまえば「訪問者がホームページ上で何をすれば儲かる/コストが下がるのか」を問うものです。これがホームページの目的であり、Google アナリティクスに設定する「目標」です。この問いの答えに沿ってアクセス解析データを見ていけば、問題発見につなげることができます。
こう考えると、必ずしも「お問い合わせ」が売上やコストカットにつながるとは限らないということがわかりますよね。
BtoB(企業間取引)のように単価は高いけれどウェブ上で完結せず、成約までに時間がかかるようなものでも、その流れにホームページがあるなら目的は考えやすくなるはずです。
ちなみにコスギスの場合、「運営者のページを含む3ページ以上を見て問い合わせ」です。
本来なら、戦略ありきで扱うアクセス解析データ
アクセス解析ツールで得られるデータは、膨大です。一日中見ていても飽きません。だからこそ「……で?」となりがちで、継続した改善サイクルを回せないのです。
ウェブ制作者にとってクライアントへ提案ができるのはお互い良い関係になるはずなので、ぜひ戦略から共有し、データを元に改善の提案をできるようになれると良いですね。
アクセス解析を含むウェブ解析を学びたい方は、ウェブ解析士の資格取得も検討してみてください。資格ビジネスと言われて久しいですが(笑)、私はこの資格取得をとおして得られた人の輪によって「ただの制作者」から「戦略をもとに制作を行い、改善の提案もできるウェブの専門家」になりました。
今はコミュニケーション戦略として「コンセプトダイアグラム」というメソッドで顧客中心主義の戦略を提案しています。興味ありましたらそちらもご相談ください。
セミナーでオススメした本は以下です。