ごめんください。コスギスの小杉です。自己紹介すると必然的に早口言葉になりますが、なぜか小林さんと間違えられます。
さて、検索エンジンのSSL化に伴って、どんなキーワードで自分のホームページに来たのかがわかりにくい時代でございますね。「キーワードに頼らないSEOをやっていこう」という流れが大きくなっていますが、それでも知りたいのが人の業。
では、どうするのか?というのが今回の本題です。
前提として、キーワードを分析するのは「発見を得るため」
店名やサービス名などの「ブランドワード」がキーワードになるのは、ある意味当然です。「コスギス」や「新潟 ウェブ解析士」と検索すれば、うちのサイトが表示されます。
むしろこのようなブランドワードでの誘導ができていない場合、キーワードがわからない以前の問題です。サイトの構成やボリュームを見直しましょう。
そもそもキーワード分析は、「売り手がウリ文句にしている文言」ではなく、「買い手が買いたいきっかけになる文言」を確認、発見、行動を分析して改善施策を行うことが目的です。
この「確認・発見」だけで終わっている場合が非常に多いので、「キーワードがわからなくなったら、確認も新しい発見もできないじゃないか!」と不安になっても、問題ありません。その後の「分析・改善」まで行っていなければ、不要な業務がひとつ減るだけですのでご安心ください。
この機会に分析と改善にも興味を持って実践していただけると、きっと御社のウェブビジネスは変わると思います。
1.キーワードがわからないなら、コンテクストを考えたらいいじゃない
これが本命。「コンテンツ」ではありません。「コンテクスト」です。一般的には「文脈」「背景」「状況」などと言われる言葉です。
「検索ワード」とは、検索者の意図が詰まったもの。ランチの場所を探している人が「ランチ 地域名」で検索したとしても、「猫カフェ 地域名」と検索することはまずないでしょう。
「猫カフェ 地域名」と検索する人は、
- 少なくとも猫好き。
- その地域に住んでいるか行く予定がある。
- 写真を撮ってSNSでアップする可能性が高い。
- よってスマホ率も高い。
- ブランドワードではないので、新規の訪問者である可能性が高い。
ということを想像できます。既存のデータを組み合わせれば、もっと色々わかるでしょうが、あくまで仮定です。
このように、性格や行動、居住地や持ち物など、想定する相手の状況や背景を「コンテクスト」といいます。
コンテクストが想定できたら、相手がどんなことを求めているのか、どんなことで心が動くのか、などを考えます。
どのような猫がいて、どんなサービスがあって、どんな風にくつろげるのか。開店時間や費用、アクセス方法や駐車場などの 5W1H な情報はすぐ思いつくかと思いますので、もう一歩相手に寄り添ってみましょう。
- もし地域外から来てくれるとしたら
→ アクセス方法を言葉の分からない外国人旅行者が見てもわかるくらい、丁寧にしておくと迷わず来られそう - SNSをやっていてスマホを持っているなら
→ 特徴的なカプチーノなど、写真に収めたいと思わせる写真があると来たくなるかも - 猫の健康状態を心配しているなら
→ 猫の健康状態もスタッフがブログに載せておくと安心できるし、他のお客様にも気遣っていただけるかも
なんてことも考えることができます。これらの状況の時に、相手がどんなキーワードで検索するのかを考えます。
「アメショ 猫カフェ」「黒猫 カフェ」「さわれる猫」「猫 会話」「猫カフェ 駐車場あり」「猫カフェ 行き方」「猫カフェ 地域名 どうやって」「ねこかふぇ 県名のどこ」「猫鍋カプチーノ」「肉球カプチーノ」「猫カフェ メニュー おすすめ」「猫カフェ 規制 店名」「猫の病気 猫カフェ」……
このように、相手のコンテクストが想像できると、様々なキーワードがどんどん出てきます。
これらを1キーワード1記事(もしくは1カテゴリ)としてブログを書いていくと、その記事のアクセス ≒ 想定キーワードでのアクセス と考えることができるようになります。
つまり、キーワードごとの分析ではなくページ(もしくはカテゴリやコンテンツ)ごとの分析を行うことで、キーワード依存から脱却できます。
ここまでしても不安な方は、キーワードに依存しすぎている傾向があります。以下にツールも紹介していますが、どうせわからなくなるものは思い切って一旦忘れ、記事ページからの行動分析に注力してみてはいかがでしょうか。
今回は端折っていますが、顧客のステージによってコンテクストが変わるので、コンセプトダイアグラムなどと組み合わせて実践することをおすすめします。
参考:Amazon.co.jp: コンセプトダイアグラムでわかる [清水式]ビジュアルWeb解析
清水さんのコンセプトダイアグラムがやっとわかりやすくまとまったので、ワークショップをやりたくてうずうずしている今日このごろ。ダッシュボード式のレポートもオススメです。
2.キーワードがわからないなら、お金で買えばいいじゃない
今回の Yahoo! JAPAN の仕様変更は、普段から広告を扱っている方々にとっては、それほどインパクトの大きいものではないかもしれません。
リスティング広告(検索連動型広告)は検索ワードそのものにお金を払って広告を出しているので、キーワードがわからなくなるということはありません。
広告出稿はギャンブルではなく投資です。投資先のことがわからない投資家はいませんよね。消費ではなく投資だからこそ、コストダウンと成果アップのために分析と改善を行なう習慣が必要になります。
そうでないと、キーワードの確認と発見だけにお金を使うことになってしまい、見返りは期待できません。
例えば毎月10万円かけても、自己満足にしかなっていなかったとしたら。
または毎月10万円かけた分、売上が10万円、20万円……と増えていったら。
経営者はそれぞれをどう考えるでしょうか。
検索連動型広告は、クリックされないと課金されないので、非常に費用対効果の高い広告です。敬遠していた方も、この機会に学んでみてはいかがでしょうか。
参考:Amazon.co.jp: いちばんやさしいリスティング広告の教本 人気講師が教える利益を生むネット広告の作り方
3.キーワードがわからないなら、わかるツールを使えばいいじゃない
キーワードは、閲覧者の意図が詰まったもの。それは変わりません。
だから今後、顧客のコンテクストを理解するためのワークショップやセミナーが増えるのを期待しています。これはウェブに限らず、リアルの商売でも非常に重要なことですから。そうなると、経済情勢も上向くんじゃないかなって。
将来は、そのようなコンテクスト理解のノウハウを実践していただくとして……
「キーワードが取れなくなった!」「このキーワードで大丈夫なのか!?」と、(とりあえずの)心の拠り所が欲しい方は、キーワードがわかるツールを使えばいいんです。
Google キーワードプランナー
先に上げた Google の検索連動型広告の管理画面で使える、出稿キーワードの補助ツールです。
「怖いから、まだ広告出すつもりなんかないよ!」という方でも、ご安心ください。登録は必要ですがキーワードプランナーは無料で使えます。
どのようなキーワードの検索ボリュームが大きい? 競合がどれだけいる? 四季トレンドは? 関連するキーワードは? などの情報を得ることができます。
ただしキーワードプランナーを使っているのはあなただけではありません。表示される関連キーワードは、競合も狙っている可能性が高いことをお忘れなく。
また、キーワード選定に関する問題点にも言及した、中級者向けの記事は以下に。
参考:SEOのキーワード調査2015:キーワードプランナーを100%頼りにはできない時代の方法論(前編) | Moz – SEOとインバウンドマーケティングの実践情報 | Web担当者Forum
Google サーチコンソール(旧 Google ウェブマスターツール)
Google の検索からご自身のサイトにアクセスされる直前の、検索結果に表示された際の情報がわかります。
検索トラフィック → 検索アナリティクス を開くと、このような画面が表示されます。「クエリ」というのがキーワード。クリック数はご自身のサイトへのアクセス数と思って良いでしょう。
キーワードの隣にあるアイコン(□っぽいもの)をクリックすると実際の検索結果が表示されるので、「あ、このページか」とわかるわけです。訪問者になりきって、実際にアクセスして行動をなぞってみてくださいね。
訪問者が満足できる内容になっていますか?見て欲しいページに誘導できていますか?
ちょっと専門用語が多いのですが、詳細は以下のヘルプセンターも参考に。
そういえば、サチコさんの画面が変わったのでした。今からやるなら、新しい画面の方がオススメです。
キーワードサジェストツールは使えなくなる?
お世話になっている goodkeyword さんから、関連ワードを取得するための API が使えなくなりそう、というアナウンスがありました。
参考:goodkeywordの今後について « 佐藤の原稿用紙1枚分
これによって、関連語の取得も厳しくなってきそうです。
キーワードに依存しないよう方針転換しつつ、上手にツールを使いたいですね。
ということで、マリー・アントワネット的なキーワード対策でした。キーワード依存から抜け出すひとつの手段として、コンセプトダイアグラムはとってもおすすめです。企業が望む顧客の行動を起こすために、企業はどんなアプローチをしていけばよいのかがわかるメソッドです。
書籍の内容(特に描き方のところ)は少し古くなってしまっているので、コミュニケーション戦略に興味のある方は、公式サイトをご覧ください。